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心理的安全性を脅かすものとは?
心理的安全性を脅かすものとは?
最近、ある政府系法人の課長クラス向け研修を担当しました。
テーマは「心理的安全性」。
研修依頼時の仕様書には、「心理的安全性を脅かす人への対応法」との一文がありました。
この言葉に少し違和感を抱きつつも、研修カリキュラムを作成し、実施することに。
受講者の方々と密にコミュニケーションを取りながら進める中で、
なぜこの文言が入っていたのか、その背景が明らかになりました。
それは、多くの組織で部長クラス以上の人々が持つトップダウン型の姿勢。
どれだけ時代が変わっても、
「上司の言うことは絶対」 「部下が意見を言うのは生意気だ」 といった価値観が残り続け、
上層部の意識改革が進まないことへの不満がにじんでいたのです。
そこで、課長クラスの方々には、部下の心理的安全性を守るだけでなく、
時には部長クラスの発言や行動に対して意見を伝える役割を担ってほしい
—— そんな願いが込められていました。
目次
①リーダーの言葉が与える影響
この研修を通じて、改めて感じたことがあります。
それは、 リーダーの言葉や行動は、チーム全体に想像以上の影響を与える ということ。
例えば、ある管理職の方がこんな経験を話してくれました。
「部長が会議中に『感情的になりがちだからな』と冗談半分に言ったんです。
私は反論しようと思いましたが、雰囲気を壊すのも怖くて何も言えませんでした。
すると、他の社員も下を向いてしまい、会議中に意見を言わなくなってしまったんです。」
本人は何気なく言ったつもりでも、その一言がチームの心理的安全性を壊すことがある。
こうした無意識の発言が、職場の雰囲気や社員の意欲にどれほど影響を与えるか、
私たちはもっと考えるべきなのです。
②「心理的安全性」を守るためにできること
では、リーダーや経営者として、
心理的安全性を守るためにはどうすればよいのでしょうか?
1. 自分の言動を客観的に見つめる
まずは、自分の発言や行動がどのように受け止められているのかを意識すること。
例えば、 「今日の会議の発言、誰かを傷つけるようなことを言っていなかったか?」
「無意識のうちに、部下の意見を否定してしまっていないか?」
こうした問いかけを自分にするだけで、少しずつ変化が生まれます。
2. 部下の声に耳を傾ける
「自分の考えが正しい」と思い込みすぎると、部下の意見を聞く余裕がなくなります。
しかし、心理的安全性を高めるためには、
部下の声に耳を傾け、意見を尊重することが不可欠 です。
例えば、 「○○さんの意見、すごく興味深いね。もう少し詳しく聞かせてくれる?」
といった言葉をかけるだけで、相手は安心して意見を述べられるようになります。
3. 肯定的な受け答えをする
部下が何か意見を言ったとき、
「いや、それは違う」 「そんなの無理に決まってる」 とすぐに否定するのではなく、
「なるほど、そういう考えもあるね」 「それは面白いアイデアだね」 と、
一度受け止めることが大切です。
些細な言葉の違いですが、こうした積み重ねが心理的安全性を築いていきます。
③まとめ
心理的安全性は、組織において非常に重要な要素。
しかし、トップダウン型の文化が根付いていると、
部下が自由に意見を言えない環境が生まれてしまいます。
リーダーが自らの言動を見直し、 部下の声に耳を傾けること——
それが、より良い職場環境をつくる第一歩となるのではないでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
それでは、良い一日を。