自分はその人のことを何もわからない、知らない。

hayashi

こんにちは質問型®︎コンサルタントの林俊一です。

 

今日は
「私が日頃心がけていること」
というテーマでお話をいたします。

 

私は現在、
自己対話マネジメント、営業、パーソナルコーチング、
コミュニケーションオリジナルプログラムなどを通じ、
様々なクライアントさんのサポートをさせていただいています。

 

クライアントさんによって
最近スタートされた方から3年以上という方まで
様々いらっしゃいますが
2年以上関わらせていただいている方々が
結構多くいらっしゃいます。

 

大体は1回あたり90分~120分という時間で
定期的に個別のセッションを重ねていくわけですが、
そのセッションに臨むにあたり、
「自分はその人のことを何もわからない、知らない」
というスタンスを常に心がけ、大切にしています。

 

長期間に渡ってのお付き合い、
しかも定期的に深い話をしてきているわけですから、
現実的にはかなりの部分で
クライアントさんのことを当然把握はしていますし、
むしろそうでないと
プロのコーチ、コンサルタントとはいえないでしょう。

 

これを大前提としたうえで
「自分はその人のことを何もわからない、知らない」
というスタンスで臨んでいるのです。

 

これは一見矛盾しているようではありますが、
言葉を加えていえば
『その日』その人のことを自分はなにもわからない、知らない」
というように表現した方が正確かもしれません。

 

私たちは家族、知人、友人、仕事仲間、お客様など
日頃接する「知人」に対してはつい
「あの人ってこうだよね」とかいうように
決めつけてしまうことが少なくありません。

 

ただそれはその人のほんの一部分であり、
自分の価値観や思い込みだけでみた「その人像」
なのではないかと
私はいつも思っています。

 

それに加えて、
人の体調、感情、気分、状況などは
日々めまぐるしく変化していくもので、
その日によって違いますし、
ましてそれは目には見えないものです。



気温、湿度、風など自然の変化が日々違うように
人も自然の一部であることを考えれば
これは当たり前ともいえるかとも思っています。

 

だからこそまずは
クライアントさんのすべてをひっくるめた
『その日の状況』を把握しないと
よいサポートはできないと考え、
「自分はその人のことを何もわからない、知らない」
というスタンスを大切にして臨んでいるのです。

 

 

実は
こういうことを気づかせてくれたのは私の次男でした。

かつて次男が仕事であるミスをしたときに
私は叱ったことがありました。

しばらくして
そのことについて詳しく聴いてみると、
次男は私が及びもつかないほど深く考えて、
一生懸命取り組んだ結果のミスだったとわかり、
「自分はなにもわかっていなかったな、情けない」
と私は恥ずかしくなるやら、
申し訳ない気持ちになるやらで、
きちんと次男に頭を下げて謝りました。

 

このことをきっかけとして、
「自分は何も知らない」
というスタンスを大切に持つようになったというわけです。

 

前述したように、
常日頃接している人たちに対し、
無意識に私たちはよくわかったつもりになっていたりします。
まして家族のように身近な人となればなおさらでしょう。

 

繰り返しますが、人は毎日違います。

 

毎日自分を深く観察していくと、
このことは必ずご理解いただけるかと思います。

 

因みに臨床心理学者の河合隼雄氏は
「人がいかに分からないかということを、
 確信を持って知っているのが専門家の特徴」
と仰っています。

 

だからこそ、
知っているけど「知らない」というスタンスで
人と接することによって得られることは
計り知れないほど大きなものがあるのではないかと
私は思っています。

 

それは深い信頼関係を築けることかもしれないし、
トラブルを未然に回避できることかもしれないし、
トラブルによって生じる無駄な時間や
エネルギーの節約かもしれないし、
心の安定かもしれないし・・・
などなどあげたらきりがないくらいでしょう。

 

人とコミュニケーションをとる上において
何をするかはとても大事ですが、
どういう姿勢で関わるのかは、
もっと大事ではないかと思うのです。

すこしでもお役に立てれば幸いです。