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“つまりこういうことですよね”が危ない理由

yasui



こんにちは、安井です。

今日は

「無意識の“まとめ”が、相手との距離を生んでいるかもしれない」という話です。

会話の中で、
「つまりこういうことですよね」
「だったら、こうするのが良いと思います」

こんな言葉、つい使っていませんか。

僕も、よくやっていました。

相手の話を整理してあげたい。
分かりやすくしてあげたい。
前に進めてあげたい。

善意です。
むしろ、優しさのつもりです。

でも、ここにちょっとした落とし穴があるのではないかと、最近よく考えます。


1. 「まとめること」は本当に親切なのか

一般的には、会話では「要約力が大事」と言われます。

話が長い人には、
「つまりこういうことですよね」と整理してあげる。

それができる人は、仕事ができる人だとも言われます。

たしかに一理あります。

会議で延々と話が広がっていくときに、
誰かが「一度整理しましょう」と言ってくれると助かります。

カオスが収まります。
場が整います。

とはいえ。

その「まとめ」は、本当に“相手の世界”をそのまま写し取っているでしょうか。

ここが、ちょっと怪しいのです。


2. 私たちは、自分のフィルターでしか見られない

自分が見えている景色は、自分の経験や価値観を通した景色です。

当たり前ですが、これが意外と盲点です。

たとえば、
「今の仕事、なんとなくモヤモヤするんです」と言われたとします。

そこで、

「つまり、やりがいが足りないってことですよね」
「だったら部署異動を考えたほうがいいかもしれませんね」

とまとめたとします。

論理的です。
スッキリしています。

でも、相手の中ではまだ「モヤモヤ」は言葉になっていないかもしれません。

本当は、
人間関係なのかもしれません。
評価のされ方なのかもしれません。
自分の成長実感のなさかもしれません。

それなのに、こちらのフィルターで「やりがい不足」に変換してしまう。

これは、ある意味で“世界を書き換えてしまう”行為です。

少し大げさに聞こえるかもしれませんが、僕はそう思っています。


3. 「正しい提案」よりも強いもの

営業の現場でも、同じことが起きます。

こちらが完璧に整理した提案書よりも、
お客様が「あ、それかもしれない」と自分で言った瞬間のほうが、圧倒的に強いです。

なぜか。

人は「自分で気づいたこと」に強く動かされるからです。

これは心理学でいう「自己決定感」に近い概念です。
ものすごくざっくり言うと、「自分で選んだと思える感覚」です。

たとえば、
上司に「この資格を取れ」と言われるのと、
自分で「これが必要だ」と思って申し込むのとでは、
本気度がまったく違います。

前者は義務です。
後者は意志です。

部下との1on1でも同じです。

上司が正解を示すより、
本人がぽつりと「自分はこうしたいです」と言った一言のほうが、ずっと強いです。

行動につながります。


4. 「まとめたい衝動」の正体

とはいえ。

こちらも悪気があるわけではありません。

むしろ、焦っているのです。

早く解決してあげたい。
役に立ちたい。
優秀だと思われたい。

この気持ち、分かります。
僕もあります。

でも、もしかするとその「まとめたい衝動」は、自分の不安から来ているのかもしれません。

沈黙が怖い。
答えが出ない時間が怖い。

だから、結論を急ぐ。

これは自然なことです。
責める必要はないです。

ただ、「あ、自分はいままとめようとしているな」と気づくだけで、会話の質は少し変わる気がします。


5. もう一歩、聴いてみるという選択

強く断定する人よりも、

「もしかしたら、他の見え方もあるかもしれませんね」

と余白を持てる人のほうが、結果的に相手の気づきを生み出します。

たとえば、

「今の話、もう少し詳しく聞いてもいいですか」
「そのとき、どんな気持ちでしたか」

と一歩だけ踏み込んでみる。

まとめる前に、もう一歩聴く。

たったそれだけです。

でも、これがなかなか難しいです。

なぜなら、即効性がないからです。

すぐに結論は出ません。
時間もかかります。

しかし、じわっと効きます。

あとから「あのとき話せてよかった」と思ってもらえる関わり方は、たいていこちらです。


6. 「自分から買う」と言ってほしいなら

「自分から買うと言ってほしい」
「自分で気づいて動いてほしい」

そう思うのであれば、まずは自分の見方を疑ってみることがスタートかもしれません。

自分の見えている景色は、あくまで自分のものです。

完全に同じ景色を、相手と共有することはできません。

でも、近づこうとすることはできます。

その姿勢が、信頼になります。

信頼があるからこそ、人は心を開きます。

そして、自分の言葉で語り始めます。


7. 早さより、深さ

今は「速さ」が価値になりやすい時代です。

結論を出すのが早い人。
即答できる人。
ズバッと言い切れる人。

かっこよく見えます。

でも、対話においては、必ずしもそれが正解とは限らないのではないかと僕は思っています。

ゆっくり考える時間。
言葉にならない時間。
曖昧なままの時間。

そこにこそ、その人の本音が眠っていることがあります。

少なくとも、僕はそう感じています。


というわけで。

「まとめる前に、もう一歩聴く」。

それだけで、相手との距離はほんの少し縮まるかもしれません。

完璧な正解を出すことよりも、
相手の世界に敬意を払うこと。

そのほうが、長い目で見るとずっと強いのではないかと思っています。

今日の話が、
誰かとの会話をほんの少しだけ変えるきっかけになればうれしいです。

それでは、
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

明日もまた、よい一日になりますように。


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