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経験学習モデルについて深堀りしてみる

yasui


こんにちは、安井です。

今日は「経験学習モデルってなんだろう?」というテーマで書いてみたいと思います。人事の方から「若手が成長したいって言いながら、結局は上司や環境のせいにしてしまう。なんとかならないか」という相談を受けて、私自身も改めて深掘りしたテーマです。


目次

1. よく言われる「経験から学びなさい」の落とし穴

社会人になるとよく言われるのが「経験から学べ」という言葉です。確かにもっともらしい響きがありますし、成長のためには欠かせないことのように思えます。
でも実際には「経験=勝手に学びになる」わけではありません。ただ毎日同じ仕事を繰り返していても、気づけば「去年と同じ自分」のままということ、ありませんか?

これは「経験」自体が学びではなく、学びになるかどうかはプロセス次第だからです。


2. 経験学習モデルって?

そこで登場するのが「経験学習モデル」です。これはアメリカの教育学者デービッド・コルブが提唱した理論で、人が経験を通じて学びを深める流れを示しています。ざっくりいうと、次の4つのステップです。

  1. 具体的経験(実際にやってみる)

  2. 内省的観察(その経験を振り返る)

  3. 抽象的概念化(教訓や原理を見つける)

  4. 能動的実験(次の行動に活かす)

このサイクルを回すことで、経験は「ただの出来事」から「成長の糧」へと変わります。


3. 振り返りがないと「ただの繰り返し」になる

よく「毎日忙しくて振り返る暇なんてない」という声を聞きます。でも振り返りがない経験は、ただの消費に終わってしまうことが多いのです。

例えば料理をイメージしてください。レシピも見ずに毎日カレーを作っていたら、10回作っても同じ味のままです。でも「今日は玉ねぎをじっくり炒めたら甘みが出たな」「次はスパイスを変えてみよう」と気づけたら、10回目にはだいぶ腕が上がっているはずです。

経験学習モデルの肝は、この「気づき」と「次への実験」にあります。


4. 若手が「考えない」のは本当か?

「最近の若者は自分で考えない」とよく耳にします。でも、私はそれがすべて若者のせいとは思いません。ネットやSNSで正解らしきものがすぐ見つかる環境では、「まず自分で考える」習慣が育ちにくいのです。

だからこそ、「振り返りの問い」を投げかけてあげることが大事になります。

  • なぜそうなったのか?

  • その出来事から何を学べるか?

  • 次にどう活かすか?

こうした問いを繰り返すことで、経験がようやく「自分のもの」になっていきます。


5. コーチングと経験学習サイクル

実はコーチングの現場でも、この経験学習モデルは欠かせません。振り返りシートを書いたり、コーチからの質問に答えたりすること自体が、このサイクルを自然と回す仕組みになっています。

私自身、受講生の方と話していて「ただ経験を共有する」のと「そこから意味を見出す」のとでは、学びの深さがまったく違うなと感じます。


6. 上司や先輩にできること

ここで悩ましいのが「どうやって若手に経験学習を促すか」という点です。ただ「振り返りなさい」と言っても、形だけで終わることが多いです。

私のおすすめは、具体的な問いをセットで渡すことです。

  • 今日の仕事で一番うまくいったことは?

  • その理由はなんだと思う?

  • 次に試すとしたら、どんな工夫ができる?

こうした問いがあるだけで、振り返りの質はグッと変わります。


7. 「成長しなさい」と言う前に

人事の方から「若手が成長しない」と相談を受けるたびに思うのは、実は**大人自身も経験学習サイクルを回していないのでは?**ということです。

「若手はダメだ」と嘆いて終わるのではなく、「なぜそう感じるのか?」「自分はどう関わったか?」「次にどうすれば伝わるか?」と考えてみる。そうすると、上司自身の成長サイクルも回り始めるのです。


まとめ

経験学習モデルは、若手だけのためのものではありません。誰にとっても「経験を成長に変えるための仕組み」です。

とはいえ、最初から完璧にやる必要はありません。まずは「ちょっと立ち止まって考える」「次はこうしてみよう」と意識するだけで十分です。

というわけで、経験学習モデルは「魔法の杖」ではありませんが、日々をただの繰り返しにしないための大事な考え方だと思います。あなた自身の経験をどう生かすか、今日から少しだけ試してみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それでは、良い一日を!


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