コラムCOLUMN
“聴く”から始まる対話
こんにちは、安井です。
今日は「三方よし」の中でも、【対仲間・メンバー】についてお話ししたいと思います。
「三方よし」といえば、近江商人の哲学として有名ですよね。
売り手よし、買い手よし、世間よし。──この三つが調和してこそ、商いは成り立つと言われています。
でも、チームや組織の中で考えると、もう一つ大切な「よし」がある気がします。
それが、「仲間よし」です。
目次
- 1. 「聴くことの本質は、信じること」
- 2. すぐ助言したくなる自分を手放す
- 3. 対話は、鏡のように気づきを映す
- 4. チームに必要なのは、「問い」よりも「信頼」
- 5. 聴くことがもたらす、もう一つの「よし」
- 6. おわりに──“聴く”は、心の筋トレ
1. 「聴くことの本質は、信じること」
多くの人が「ちゃんと聴こう」と努力しています。
会話中にうなずいたり、相づちを打ったり、メモを取ったり。
でも、どれだけ丁寧に頷いても、心の中で「正しい答え」を探しているうちは、相手は本当のことを話せません。
これはコーチングでもよくある話です。
「質問型コミュニケーション」という手法では、聴くとは“信じる”ことだと言います。
つまり、「相手の中に答えがある」と信じる姿勢のことです。
信じるというのは、言葉以上に伝わります。
たとえば、自分の話を最後まで遮らずに聴いてくれる人に出会うと、「あ、この人は信じてくれてるな」と、安心して本音を話したくなりますよね。
逆に、少しでも「それ違うと思う」とか「もっとこうした方がいいんじゃない?」が透けて見えると、人は心の扉を閉ざしてしまいます。
つまり、聴くという行為の根底にあるのは「信頼」なんです。
2. すぐ助言したくなる自分を手放す
「こうした方がいいのに」と思うのは、相手のためを思うから。
でも実は、その裏には「自分が安心したい」という気持ちが隠れています。
たとえば、部下が悩んでいるとき。
つい「それはこうすれば解決できるよ」と言いたくなります。
でもそれって、本当に相手のためでしょうか?
多くの場合、「早くこの状況をどうにかしたい」という自分の焦りだったりします。
人が成長するのは、答えを与えられた瞬間ではありません。
自分で考えて、言葉にした瞬間です。
だからこそ、聴く側に求められるのは「相手を信じて待つ覚悟」なんです。
これはリーダーシップにも深く関係します。
メンバーの成長を願うなら、口出しよりも“傾聴”が先。
「あなたならできる」と信じて見守ることが、何よりの支援になります。
そして不思議なことに、そうやって信じて聴くと、相手は自分の中に眠っていた答えに気づきます。
それが、コミュニケーションにおける“魔法”のような瞬間です。
3. 対話は、鏡のように気づきを映す
対話とは、相手を理解するためのもの──そう思いがちですよね。
でも実は、対話は「自分を映す鏡」でもあります。
相手の話を聴いているとき、どんな感情が湧くか。
「この人、なんでこんな言い方するんだろう」と感じるなら、自分の中に“その言い方が許せない価値観”がある証拠です。
逆に、「この人の考え方、素敵だな」と思うなら、自分の中にも同じ可能性が眠っています。
つまり、聴くという行為は、相手を理解するだけでなく、自分を理解するプロセスでもあるんです。
僕自身、以前は「良い質問をしよう」「うまく導こう」と力んでいました。
でも、あるとき気づいたんです。
「うまく聴こう」とするほど、相手の声を聴いていない自分がいる、と。
本当に大切なのは、技術ではなく“在り方”でした。
つまり、「この人はきっと、自分で答えを見つけられる」と信じられる心の状態。
その在り方が、自然と聴く姿勢ににじみ出ます。
4. チームに必要なのは、「問い」よりも「信頼」
リーダーやマネージャーの中には、「良い質問をすればチームが動く」と思っている人も多いです。
もちろん、質問の力は大きいです。
でも、もっと大事なのは「どんな問いをするか」よりも、「どんな信頼関係の上で問いをするか」です。
どれだけ鋭い質問をしても、信頼がなければ相手は心を開きません。
逆に、信頼があると、多少ぎこちない質問でも相手は「この人なら」と素直に答えてくれます。
つまり、チームビルディングにおける聴く力とは、単なるスキルではなく「関係性の土台」そのものなんです。
チームの雰囲気がギスギスしているときほど、必要なのは“沈黙を受け止める勇気”。
言葉にならない思いを待てるリーダーがいるチームは、自然と信頼が生まれ、互いに補い合えるようになります。
5. 聴くことがもたらす、もう一つの「よし」
「対仲間・メンバー」における“聴く力”は、結果的に「三方よし」すべてを支えます。
仲間を信じて聴くことで、チーム全体が成長します。
そのチームが生み出す価値は、顧客や社会に還元されます。
つまり、「仲間よし」は「世間よし」にもつながるんです。
とはいえ、いつも完璧に聴ける人なんていません。
僕も正直、つい口を挟みたくなることがあります。
でも、そんなときは「今、自分が安心したいだけかも」と一度立ち止まります。
その一呼吸が、相手を信じる第一歩です。
6. おわりに──“聴く”は、心の筋トレ
聴くという行為は、一見静かに見えますが、実はとてもエネルギーを使います。
相手を信じ、自分を整え、ただそこに在る。
それは、日々の中で少しずつ鍛えていく「心の筋トレ」みたいなものです。
今日も仲間と向き合うとき、「この人の中に答えがある」と信じてみてください。
きっと、いつもとは少し違う言葉が返ってくるはずです。
というわけで、今日は「聴くことの本質は信じること」というテーマで、仲間との関係についてお話ししました。
誰かを変えようとするより、信じて聴くほうが、ずっと深く人を動かします。
耳だけでなく、心で聴く。
その姿勢こそが、三方よしの“仲間よし”をつくる第一歩なのかもしれません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それでは、良い一日を!
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