コラムCOLUMN
「相談できない若手」と「見守る上司」──すれ違いを埋める“対話の習慣”

こんにちは、安井です。
今日は「真面目な若手」と「もどかしい上司」という、どこの職場にもありそうなテーマについて書きたいと思います。
最近、ある自治体で採用2年目の職員さん向けに研修をしてきました。
まだ20代前半の、いわゆる“フレッシュ世代”です。みんな真面目で素直。けれど、どこか全体的に控えめな印象を受けました。
…この「控えめさ」、実は職場の中でいろいろな“すれ違い”を生んでいるんです。
目次
- ① 若手の「遠慮」と上司の「もどかしさ」
- ② なぜ、すれ違いは起こるのか?
- ③ 「定期的な1on1」という仕組みが救う
- ④ 対話の文化がチームを変える
- ⑤ 若手の遠慮をほどくには?
- ⑥ 職場の関係を“仕組み”でやさしくする
- ⑦ というわけで、まとめです
① 若手の「遠慮」と上司の「もどかしさ」
研修の中で、若手職員の方に「上司との関わりで悩んでいることはありますか?」と聞くと、こんな声が返ってきました。
「上司が忙しそうで、迷惑をかけたくないんです」
「もっと自分で考えてから相談しようと思って…」
うんうん、わかります。社会人になってまだ2年。自分のペースもつかめない中で、“手がかからない人”でいたいと思うのは自然なことですよね。
でも一方で、上司側からはこんな声が聞こえてきます。
「言われたことはしっかりやるけど、自分で考えようとしない」
「困ってるなら相談に来てほしいのに、全然来ないんだよ」
どちらも悪気なんてありません。
むしろ、お互いに“良かれと思って”行動している。
それでも、なぜかうまくかみ合わない。
この「悪気のないすれ違い」こそが、職場コミュニケーションの難しさの正体なんです。
② なぜ、すれ違いは起こるのか?
若手は「上司に迷惑をかけたくない」と思い、相談を控えます。
上司は「もっと話してくれたら助けられるのに」と思い、声をかけます。
それなのに、タイミングが合わず、結局は表面的な会話で終わってしまう。
まるで、お互いが「気を使い合う」ほどに距離が広がっていくような構図です。
こうした現象、実は心理学的には「過剰な配慮のすれ違い」と呼ばれます。
相手を思う気持ちが強すぎて、逆に本音を話せなくなるというパターンです。
たとえば、恋人同士でも「嫌われたくない」と思うあまり、つい我慢してしまうことってありますよね。
職場でも似たようなことが起きているのです。
③ 「定期的な1on1」という仕組みが救う
このすれ違いを防ぐカギは、**定期的な1on1(ワン・オン・ワン)**です。
1on1というのは、上司と部下が一対一で話す時間のこと。
最近は多くの企業が導入していますが、実際の現場では「報告会」や「評価の場」になってしまっているケースも多いです。
でも、本来の1on1は違います。
目的は「報告」ではなく、「成長を支援するための対話」です。
「最近、うまくいったことはある?」
「どんなサポートがあれば、もっと動きやすい?」
そんなふうに、上司が“聴く側”にまわる時間を持つこと。
それが、若手の主体性を引き出す最もシンプルで効果的な方法なんです。
④ 対話の文化がチームを変える
人は「話すことで整理され」「聴かれることで安心する」と言われます。
つまり、上司が話を聴く姿勢を見せるだけで、チームは変わるんです。
実際、私が関わった自治体でも、1on1を始めて数ヶ月で変化が起きました。
「相談が増えた」「若手からの提案が出るようになった」など、どの部署からもポジティブな声が上がったんです。
最初はぎこちなかった上司も、回を重ねるうちに「聴くことの力」に気づき始めます。
すると、自然と“教える”から“支える”へとスタンスが変わっていく。
この変化こそが、リーダーとしての成長なんですよね。
⑤ 若手の遠慮をほどくには?
とはいえ、「制度化」しただけで関係がよくなるわけではありません。
本当に大事なのは、上司の問いかけ方です。
たとえば、
「なんでできなかったの?」ではなく、
「どんなところが難しかった?」と聞く。
この“ほんの一言の違い”で、部下の心の開き方がまるで変わります。
人は責められると黙ります。
でも、理解されようとしてくれる相手には、自然と本音を話したくなるものです。
だからこそ、上司に必要なのは「正しい指導」よりも「丁寧な問いかけ」なんです。
⑥ 職場の関係を“仕組み”でやさしくする
最後に、これは私の持論ですが──
「人間関係は、仕組みでやさしくできる」と思っています。
1on1を制度として持つ。
質問をテンプレート化する。
話し合う時間をあらかじめカレンダーに入れておく。
こうした“小さな仕組み”があるだけで、職場の空気は確実に変わります。
人の優しさや誠実さは、持続しにくいものです。
でも、仕組みの力を借りれば、その優しさを“続ける仕組み”に変えることができる。
⑦ というわけで、まとめです
真面目な若手が悩むのは、「迷惑をかけたくない」という優しさから。
上司がもどかしく感じるのは、「力になりたい」という責任感から。
どちらも“思いやり”が出発点なんです。
だからこそ、すれ違いを責めるのではなく、定期的な対話という橋をかけること。
それが、お互いを理解し合う第一歩です。
職場コミュニケーションは、センスではなく“仕組み”で変えられます。
もし今、「部下が何を考えているのかわからない」と感じているなら──
まずは、10分だけでも話してみてください。
きっと、あなたのチームにも新しい風が吹くはずです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それでは、良い一日を!
この記事がよかった!わかる!やってみよう!と思ったら、シェアしてもらえると嬉しいです!
<新時代のリーダーに必要な「人を活かし、伸ばす」

次回は、12月13日(土)10:00~11:30
売上が伸びない、安定しない
優秀な人材の確保が難しい、すぐに離職してしまう
メンバーが主体的に動かない、指示待ちの状態が続く
相談できる相手がいない、経営やリーダー業務が孤独に感じる
チームに一体感がなく、成果がなかなか上がらない
そんな方はぜひご参加ください。
セミナー参加者には 「1on1実践ワークシート」 をプレゼント!
個別相談セッション(希望者限定)
<お客様との距離が自然と深まる、質問型コミュニケーションセミナー>

次回は、11月29日(土)10:00~12:00
お客様と話していて、こんな風に感じたことはありませんか?
-
-
- 話は盛り上がるのに、なぜかその後につながらない
- 信頼関係を築きたいのに、何をどう聞いていいかわからない
- リピートや紹介がもっと増えたらいいのに…
-
そんな“あと一歩”の壁を超える鍵が、「質問のしかた」にあります。
質問型コミュニケーションとは、 相手の本音や想いを自然に引き出し、信頼関係を築きながら対話を深めていく技術。
この体験セミナーでは、そのエッセンスを120分で体感していただきます。
<質問型コミュニケーション協会の講座情報!>
新年度がスタート!このタイミングで
「今年こそ、関わり方を見直したい」
「チームの力を底上げしたい」
と思っている方へ、目的別の講座をご用意しています。
「自然と選ばれ、関係性が深まる“質問のコツ”は?」
質問型コミュニケーションセミナー
「売り込まずに選ばれる自分になりたい」
質問型コミュニケーション実践マスター講座
質問型の基礎をしっかり身につける人気講座です。
「チームや人材育成に活かしたい」という方には
新時代のリーダーに必要な「人を活かし、伸ばす」
新質問型リーダーシップ講座
チームビルディング力養成講座(
リーダーとして求められる“対話の技術”を、構造から学べます。
また、「自分自身の軸を整えたい」「
という方には、
セルフコミュニケーション講座
「気になるけど、どれが自分に合ってるか分からない…」
そんな方は、お問い合わせよりご連絡ください。
あなたにぴったりの学び方をご案内します。
こちらのコラムに興味を持たれましたら、
メルマガの登録がオススメです👇
▶質問型コミュニケーション協会メルマガ 登録◀
登録おまちしてます!
spotifyにて、音声配信をしています。

▶Leaders-Lounge◀
リーダーやこれからリーダーになる方がホッとひと息つける、寄り添い型サポート番組です。
日々の悩みや葛藤を一緒に考えながら、
具体的なコミュニケーションのコツやリーダーシップのヒントをお届けします。
また、メンバー視点の『リーダーってどう思ってるの?』というリアルな疑問にも答え、
リーダーもメンバーも前向きに進める架け橋となる内容を目指しています。
作業をしながら、仕事をしながら、家事をしながら、お茶でも飲みながら…
ぜひ、お聴きください!