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「相談できない若手」と「見守る上司」──すれ違いを埋める“対話の習慣”

yasui



こんにちは、安井です。

今日は「真面目な若手」と「もどかしい上司」という、どこの職場にもありそうなテーマについて書きたいと思います。

最近、ある自治体で採用2年目の職員さん向けに研修をしてきました。
まだ20代前半の、いわゆる“フレッシュ世代”です。みんな真面目で素直。けれど、どこか全体的に控えめな印象を受けました。

…この「控えめさ」、実は職場の中でいろいろな“すれ違い”を生んでいるんです。


目次

① 若手の「遠慮」と上司の「もどかしさ」

研修の中で、若手職員の方に「上司との関わりで悩んでいることはありますか?」と聞くと、こんな声が返ってきました。

「上司が忙しそうで、迷惑をかけたくないんです」
「もっと自分で考えてから相談しようと思って…」

うんうん、わかります。社会人になってまだ2年。自分のペースもつかめない中で、“手がかからない人”でいたいと思うのは自然なことですよね。

でも一方で、上司側からはこんな声が聞こえてきます。

「言われたことはしっかりやるけど、自分で考えようとしない」
「困ってるなら相談に来てほしいのに、全然来ないんだよ」

どちらも悪気なんてありません。
むしろ、お互いに“良かれと思って”行動している。
それでも、なぜかうまくかみ合わない。

この「悪気のないすれ違い」こそが、職場コミュニケーションの難しさの正体なんです。


② なぜ、すれ違いは起こるのか?

若手は「上司に迷惑をかけたくない」と思い、相談を控えます。
上司は「もっと話してくれたら助けられるのに」と思い、声をかけます。

それなのに、タイミングが合わず、結局は表面的な会話で終わってしまう。
まるで、お互いが「気を使い合う」ほどに距離が広がっていくような構図です。

こうした現象、実は心理学的には「過剰な配慮のすれ違い」と呼ばれます。
相手を思う気持ちが強すぎて、逆に本音を話せなくなるというパターンです。

たとえば、恋人同士でも「嫌われたくない」と思うあまり、つい我慢してしまうことってありますよね。
職場でも似たようなことが起きているのです。


③ 「定期的な1on1」という仕組みが救う

このすれ違いを防ぐカギは、**定期的な1on1(ワン・オン・ワン)**です。

1on1というのは、上司と部下が一対一で話す時間のこと。
最近は多くの企業が導入していますが、実際の現場では「報告会」や「評価の場」になってしまっているケースも多いです。

でも、本来の1on1は違います。
目的は「報告」ではなく、「成長を支援するための対話」です。

「最近、うまくいったことはある?」
「どんなサポートがあれば、もっと動きやすい?」

そんなふうに、上司が“聴く側”にまわる時間を持つこと。
それが、若手の主体性を引き出す最もシンプルで効果的な方法なんです。


④ 対話の文化がチームを変える

人は「話すことで整理され」「聴かれることで安心する」と言われます。
つまり、上司が話を聴く姿勢を見せるだけで、チームは変わるんです。

実際、私が関わった自治体でも、1on1を始めて数ヶ月で変化が起きました。
「相談が増えた」「若手からの提案が出るようになった」など、どの部署からもポジティブな声が上がったんです。

最初はぎこちなかった上司も、回を重ねるうちに「聴くことの力」に気づき始めます。
すると、自然と“教える”から“支える”へとスタンスが変わっていく。

この変化こそが、リーダーとしての成長なんですよね。


⑤ 若手の遠慮をほどくには?

とはいえ、「制度化」しただけで関係がよくなるわけではありません。
本当に大事なのは、上司の問いかけ方です。

たとえば、
「なんでできなかったの?」ではなく、
「どんなところが難しかった?」と聞く。

この“ほんの一言の違い”で、部下の心の開き方がまるで変わります。

人は責められると黙ります。
でも、理解されようとしてくれる相手には、自然と本音を話したくなるものです。

だからこそ、上司に必要なのは「正しい指導」よりも「丁寧な問いかけ」なんです。


⑥ 職場の関係を“仕組み”でやさしくする

最後に、これは私の持論ですが──
「人間関係は、仕組みでやさしくできる」と思っています。

1on1を制度として持つ。
質問をテンプレート化する。
話し合う時間をあらかじめカレンダーに入れておく。

こうした“小さな仕組み”があるだけで、職場の空気は確実に変わります。

人の優しさや誠実さは、持続しにくいものです。
でも、仕組みの力を借りれば、その優しさを“続ける仕組み”に変えることができる。


⑦ というわけで、まとめです

真面目な若手が悩むのは、「迷惑をかけたくない」という優しさから。
上司がもどかしく感じるのは、「力になりたい」という責任感から。

どちらも“思いやり”が出発点なんです。

だからこそ、すれ違いを責めるのではなく、定期的な対話という橋をかけること。
それが、お互いを理解し合う第一歩です。

職場コミュニケーションは、センスではなく“仕組み”で変えられます。
もし今、「部下が何を考えているのかわからない」と感じているなら──
まずは、10分だけでも話してみてください。

きっと、あなたのチームにも新しい風が吹くはずです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それでは、良い一日を!


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